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第9回生物の多様性について

 1914年9月1日午後1時、この世で最後のリョコウバトのマーサが、保護されていたシンシナティ動物園で息を引き取った。
 リョコウバトは19世紀の初めには、アメリカに約50億羽いたと推定される。その数の多さから猟の対象となり、1日に何百羽という数が毎日打ち落とされた。

 1860年に鳥類保護法が制定しても、リョコウバトは数が多いことから保護の対象にはならないまま、乱獲が続いた。

 その9年後、リョコウバトの数は激減し、リョコウバト保護法が成立したのも空しく、その姿を目にすることもなくなってしまった。マーサは人間の前に姿を現した最後の一羽となった。

生物学者のピーター・ラビンの計算によると、毎日137種の動植物が地球上から姿を消している。2005年にはその数は250種に増えるだろうとの予測が立てられている。この種の絶滅は、白亜期の恐竜絶滅よりも早いペースで起こっているという。

 種の絶滅は植物に関しても同様に起こっている。1903年にアメリカの農務省がまとめた商業用野菜の品種のうちの96%は、昨今では全く見掛けなくなってしまった。

 例えば、りんごの種類。現在、北米ではマッキントッシュやガーラのように良く売れる5種類以外のりんごを、市場で見掛けることは珍しい。

 種の絶滅は常に自然の進化の過程の一部ではあるが、最近の種の急速な絶滅に関しては99%が、人間の活動が原因だとされている。

 カナダにおいては、約8千種が危険な状態にあり、そのうち307種が、「カナダにおける野生生物の絶滅の現状に対する委員会」から、絶滅の危機にあるとの認定を受けている。この種の絶滅は、生物の多様性減少の大きな原因となっている。

 生物の多様(BIODIVERSITY) は、・種、・遺伝子的な種類、・生態系、の三つの異なる多様性の概念を包括している。

 それでは何故、生物の多様性が重要なのだろうか。 それは、生物の種類が多ければ多いほど、あらゆる組み合わせの助け合いが起きるからである。微生物を例に挙げてみよう。

 コンポストや土の中にいる微生物は、有機物を分解し、栄養分の高い豊かな土を作り出す。微生物のお陰で我々の食料はまともに育つのだ。

 シンバイオシスという言葉を最近耳にする読者も多いのではないかと思う。もともとエコロジーの専門用語で、2つの生物間でそれぞれの存在が、お互いの利得になる関係性を言う。

 樹木の98%は地衣(菌類の一種)とシンバイオシスの関係にある。一見何ともなく、生息している生物間で、助け合いが自然に起きているのだ。

 さて、それでは主な種の絶滅の原因を見てみよう。

生息できる土地の減少
 種の絶滅の原因の8割は生息地の消失である。人口増加に伴う農業地の拡大、都市の拡大、またダムの建設などは、生物の生息地を奪う結果となる。

際限の無いクリアカットによる林業の在り方
 BC州の森は何百年もの間、大きな災害に遭う事なく進化し続けた。クリアカットにより、森が人間に支配されるようになるまでは、原生林から若い木の芽まで、樹齢のみならずその種類も豊富であった。

 種が多様な森には、より多くの生物が生息している。また、クリアカットは土砂崩れを招き、河川を汚濁するため、水中生物の生態にも影響を及ぼす。

気象の温暖化
 地球の気温は21世紀の終りには3度上昇すると見られており、多くの生物がその急速な環境の変化に適応できず、姿を消すことが予測されている。

化学薬品による汚染
  農薬によって、土中の微生物をはじめ、多くの生物が殺されてしまう他、重金属、毒性化学薬品などを含む工業排水により、その地域の海洋生物にも大きな影響を与える。また、酸性雨も各地の生態系に悪影響を及ぼしている。

 私たちの日常の行為1つとっても、他の生物に悪影響を及ぼしている。同じ地球上に住む人間という種の動物として、他の皆に迷惑をかけて申し訳ないという謙虚な気持ちで、できるだけ影響を少なくするよう意識的に生活することがこの問題を解く鍵なのではないだろうか。

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